Unit 9(セキュリティガバナンスの概念)+1ポイント
対象試験目標:5.1(効果的なセキュリティガバナンス)/1.3(変更管理プロセス)/4.7(自動化とオーケストレーション)/4.2(資産管理)/3.4(回復力・バックアップ)。
公式ページ番号は comptia.pdf(モジュール14+モジュール7)に対応。配点:**ドメイン5.0(プログラム管理・ガバナンス)=約20%**が中心、ドメイン4.0(運用)にもまたがる。
+9-A. 文書の階層:ポリシー/標準/手順/ガイドライン(最重要・目標5.1)
公式 モジュール14A(p.415-)。スライド(pptx#236)は3種だが、SY0-701 は4階層で問う。
| 文書 | 英語 | 位置づけ | 強制力 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| ポリシー | Policy | 経営の意志・大綱。「何を・なぜ」守るか | 必須(守る義務) | 情報セキュリティ基本方針、AUP(利用規程) |
| 標準(スタンダード) | Standard | ポリシーを満たす具体的・技術的要件。「どのレベルで」 | 必須 | パスワード標準、暗号化標準、アクセス制御標準 |
| 手順(プロシージャ) | Procedure | タスクの段階的な実行手順。「どうやって」 | 必須 | オンボーディング手順、パッチ適用手順、SOP |
| ガイドライン | Guideline | 推奨・ベストプラクティス。「望ましいやり方」 | 任意(推奨) | 推奨設定集、運用のヒント |
- 覚え方:ポリシー=なぜ/標準=何を(どの水準)/手順=どうやって(手順書)/ガイドライン=推奨。
- ポリシーと標準の違い=「標準は実装重視、ポリシーは業務のやり方重視」(公式 p.419)。
+9-B. ガバナンス構造と説明責任(目標5.1・頻出)
公式 モジュール14A(p.423-)。スライド(pptx#241)の「委員会」を701用語に対応づける。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| ガバナンスボード(取締役会) | 高位のエグゼクティブ+外部ステークホルダーで構成。戦略目標・ポリシー・最終意思決定。 |
| ガバナンス委員会 | 専門家・運用リーダーで構成。深い分析・推奨案をボードに提供(意思決定は支援)。 |
| CIO/CISO | 情報・セキュリティの最高責任者(スライドの議長=CIO)。 |
ガバナンスの類型
- 集中型 Centralized:単一グループが全社のポリシー・リソースを統制。整合性・標準化に強い。
- 分散型 Decentralized:各部門が現場に合わせて判断。適応性・柔軟性に強い。
- ハイブリッド Hybrid:集中の監視+分散の実装のいいとこ取り。
データガバナンスロール(★超頻出)
公式 p.425-。「誰が何に責任を負うか」を必ず区別する。
| ロール | 英語 | 責任 |
|---|---|---|
| 所有者 | Owner | データの最終責任。分類レベル・機密度を決め、アクセスを許可する人を決定(役員クラス) |
| 管理者 | Controller | 個人データ処理の目的・手段を決定(GDPRの概念)。法令遵守を保証 |
| 処理者 | Processor | 管理者に代わってデータを処理(例:クラウド事業者CSP、ベンダー) |
| カストディアン/スチュワード | Custodian / Steward | データの安全な保管・輸送・保存と制御の実装(多くはIT部門) |
- 混同注意:所有者(決める人)⇔ カストディアン(守る人・実装する人)。
- 管理者 Controller(目的を決める)⇔ 処理者 Processor(代行して処理する)=GDPRのペア。
+9-C. 変更管理プロセス(最重要・目標1.3)
公式 モジュール14B(p.426-)。スライド(pptx#246)は簡潔なので+1で補強。
標準的な承認フロー
- 変更依頼(RFC:Request for Change) 提出=変更の詳細・目的・範囲・影響
- 変更管理者/CAB(変更諮問委員会) がレビュー=実現可能性・リスク・整合性・ポリシー遵守
- 関連ステークホルダー(経営陣・IT・影響部門)が公式承認
- テスト環境で検証(テスト結果)
- メンテナンスウィンドウ中に実装
- 実装後のレビュー・監査+文書化・バージョン管理
変更管理の重要概念(★出題対象)
| 概念 | 内容 |
|---|---|
| 影響度分析 | 変更がユーザー・業務・相互接続システムに与える影響を評価 |
| テスト結果 | 本番前にテスト環境で意図通り動くか確認 |
| バックアウト計画(ロールバック) | 失敗時に元の状態へ戻す緊急計画。ダウンタイム・データ損失を最小化 |
| メンテナンスウィンドウ | 変更を実施する事前定義の時間枠(閑散時に設定) |
| 標準業務手順書(SOP) | 変更を一貫して行う詳細な書面指示。ミスを減らす |
| 許可リスト/ブロックリスト | 低リスク変更=許可リスト(簡略化)/高リスク・未承認=ブロックリスト |
| 再起動・依存関係・ダウンタイム | 再起動が必要な変更、依存サービスへの波及を考慮 |
| 文書化・バージョン管理 | 変更履歴を保持、承認済みだけ実装、旧版へ即戻せる |
- 許可リストの落とし穴(公式 p.429):ハッシュ値ベースの許可リストは、パッチ適用で実行ファイルのハッシュが変わると、正規ソフトが実行できなくなる。→テスト計画に組み込む。
- 依存関係の例:DBサーバーを再起動すると、それに依存する全アプリが停止しうる。
+9-D. バックアップ種別と3-2-1ルール(目標3.4・頻出)
公式 モジュール7(p.181-)+スライド pptx#248-250。
バックアップ種別の比較(★必ず出る)
| 種類 | 対象 | アーカイブ属性 | 復元 | バックアップ時間 |
|---|---|---|---|---|
| フル | 全データ | クリアする | 1世代で復元=速い | 遅い(毎回全量) |
| 差分(ディファレンシャル) | 前回フル以降の変更分すべて | 変更しない | フル+最新差分の2つ | 日々増えていく |
| 増分(インクリメンタル) | 前回バックアップ以降の変更分 | クリアする | フル+全増分が必要=遅い | 速い(差分が最小) |
- 覚え方:アーカイブ属性を「クリアするか」で見分ける。差分=クリアしない(だから積み上がる)/増分=クリアする(だから毎回リセット)。
- 復元の速さ:フル>差分>増分。バックアップの速さ:増分>差分>フル(トレードオフ)。
3-2-1ルール(★頻出)
- 3:データのコピーを3つ保持(本番+バックアップ2つ)
- 2:2種類の異なる媒体に保存
- 1:うち1つはオフサイト(遠隔地)に保管
その他の保護技術
- エアギャップバックアップ:ネットワークから物理的に切り離す=ランサムウェアがバックアップも暗号化するのを防ぐ。
- オンサイト(迅速復旧)⇔ オフサイト(災害・盗難に強い)。
- スナップショット(ある時点の状態。VM/ファイルシステム/SAN)/レプリケーション(正確なコピーを別所に同期。例:DBミラーリング)/ジャーナリング(変更をログ記録)。
- 重複除去(デデュープ)/圧縮でストレージ最適化。
- 復旧の検証:バックアップは取るだけでなく復元テスト(完全復旧テスト/部分復旧テスト)が必須。「100%成功」表示でも復元できないことがある。
- バックアップ⇔アーカイブ:バックアップ=更新データのコピーを定期取得/アーカイブ=使用頻度の低い不変データを外部保管(上書きしない)。
+9-E. 自動化とオーケストレーション(目標4.7)
公式 モジュール14C(p.434-)。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 自動化 Automation | ソフトで繰り返しタスク(監視・パッチ・ベースライン維持)を実行。人的ミス減 |
| オーケストレーション Orchestration | 複数の自動化プロセス・システムを協調させ、ワークフロー化 |
| SOAR | Security Orchestration, Automation and Response。APIで各ツールを連携し、検知→隔離→分析→通知→チケット生成を無人化 |
自動化のユースケース(公式の一覧)
- プロビジョニング(ユーザー・リソースの作成/変更/削除)
- ガードレールとセキュリティグループ(ポリシー遵守の監視・強制)
- チケット(インシデントから自動起票・エスカレーション)
- サービス管理/継続的インテグレーション(CI)・テスト
- API(システム間連携。SOARの基盤)
メリットと課題
- メリット:効率向上、一貫性、人的ミス減、労働力倍増(force multiplier)、監査証跡、オペレーター疲れ(アラート疲れ)の軽減。
- 課題:複雑さ/コスト/単一障害点(Single Point of Failure)/技術的負債/継続的サポートの必要性。
+9-F. 資産管理・構成管理・モニタリング(目標4.2)
- 資産管理:資産の識別→分類→インベントリ(目録)→追跡→廃棄。命名規則、RFID/バーコード、CMDB。
- 資産追跡の手段:手作業目録/ネットワークスキャン(Nmap/Nessus)/資産管理ソフト(Lansweeper等)/CMDB/MDM/クラウド資産発見。
- 所有権割り当て・分類:説明責任の連鎖を確立。定期的な再確認。
- 廃棄(サニタイズ):機器廃棄時にデータを復元不可能に(Unit 5のドライブサニタイズと関連)。
- 構成管理:CI(構成項目)/CMDB/構成ベースライン(承認された構成の基準点、逸脱を検知・復元)/DML(確定版メディアライブラリ)。
- モニタリング:パフォーマンスベースラインを基準に、
- シグネチャベース(既知の痕跡と照合=既知の不正検出/ミスユース検出)
- アノーマリーベース(正常のベースラインからの逸脱=異常検出)
- ビヘイビアベース(振る舞い分析=ゼロデイ検出に有効)
+9-G. ISO/IEC 27002 と法的環境(目標5.1)
- ISO/IEC 27001:ISMS(情報セキュリティ管理システム)の国際標準フレームワーク。
- ISO/IEC 27002:27001 に付随し、具体的な管理策(制御)の実装ガイド(スライド pptx#240 の項目群)。
- 27017(クラウド)/27018(クラウドのPII保護)。
- 主要な法令・標準:GDPR(EU)/CCPA(カリフォルニア)/HIPAA(米・医療)/PCI DSS(カード・契約義務)/FISMA・SOX(米・連邦/内部統制)/NIST SP800-63/FIPS。
- デューデリジェンス(しかるべき注意):責任者が怠慢でなかったことを示す法律用語。過失は刑事・民事責任を生む。
- MSS/MSSP(pptx#239):セキュリティ運用のアウトソーシング。専門人材の確保が困難な組織向け。
この+1が効く出題形式
- ポリシー/標準/手順/ガイドラインの識別(+9-A)
- 所有者/管理者/処理者/カストディアンの役割対応(+9-B)
- 変更管理:RFC・CAB・バックアウト計画・メンテナンスウィンドウ・許可リストの落とし穴(+9-C)
- バックアップ種別の見分け(アーカイブ属性)と3-2-1ルール、エアギャップ(+9-D)
- 自動化/オーケストレーション/SOAR、単一障害点・技術的負債・労働力倍増(+9-E)
- 構成ベースライン、モニタリング(アノーマリー/シグネチャ/ビヘイビア)(+9-F)
- ISO 27001/27002 の違い、GDPR/CCPA/HIPAA/PCI DSS(+9-G)